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2019-03-31

荻原規子『RDG レッドデータガール 氷の靴 ガラスの靴』

荻原規子『RDG レッドデータガール 氷の靴 ガラスの靴』(角川文庫、2019)読了。
山伏・忍者・陰陽師などが入り乱れる「和モノ」なファンタジーの外伝的作品集で本編の前日譚の短編3本と後日譚の中編。

前日譚の短編はアニメ化特典ブックレット・単行本刊行記念小冊子・コミックス版巻末おまけに載ったもの。
後日譚の中編は電子マガジンに連載されたもの。

続編はないと思っていたので、後日譚が読めて嬉しい。
短編はそもそも存在を知らなかったのでそちらも嬉しかった。

読んだのは一般文庫版だが、もともとは児童文学の方なのでカテゴリー「児童文学」で。
いずれサイトの方にもアップ予定。

以下、ネタバレを含むので畳む。
 

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2018-11-24

ベレアーズ『壁のなかの時計』

ジョン・ベレアーズ『壁のなかの時計』(アーティスト・ハウス 2001)読了。
<ルイスと魔法使い協会>シリーズの第1作。

2018年に映画化された。映画鑑賞のお誘いをいただいたのだが日程が合わず、なら原作だけでも読んでみようかなあと思ったもの。

訳されたのはハリポタブームの中だが、原作が書かれたのは1973年。さらに作品の中の年代は第二次大戦終了からほどない1948年のアメリカだが、とりたてて古さは感じなかった。イギリスの一昔前のファンタジーと思いきや、野球が出てくるのでああアメリカの話なんだなあとは思ったが。

シリーズ化され3作目まではベレアーズ本人が、ベレアーズの死後ブラッド・ストリックランドという人が書き継いで2008年の第12作で完結した。日本では第8作まで訳されているが、すべてベレアーズの名義になっているようだ。最後まで訳されなかったのは日本ではあまり人気がなかったのかな?
映画化を機に別の出版社から文庫版が出ているようなので、うまくすればシリーズ最後まで翻訳されるかも。

大事になりそうになりながら、日常的な感じの漂う親しみやすいファンタジーというところか。

以下、内容にふれるので畳む。
なお私はこの作品が「駄目」だったので、好きな方やこれから読む・観るつもりな方には以下を読むことは避けていただいた方が良いかも。
 

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2018-10-08

荻原規子『あまねく神竜住まう国』

荻原規子『あまねく神竜住まう国』(徳間書店 2015)読了(10/6)。
<勾玉>三部作に連なる『風塵秘抄』の続編。

主人公は伊豆に流されてきた源頼朝、前作に引き続き草十郎と糸世も主要人物として登場。
歴史上実在の人物がついに主人公に。
前作からの因縁とともに、土地神である竜と絡む物語。

前作から10年ぶり、3年前に出ていたのも気づいていなかったー。
前作の細かいところは忘れてしまっていたが、おもしろく読めた。
いずれサイトの方にもアップ予定。

以下、内容にふれるので畳む。
 

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2018-07-29

上橋菜穂子『鹿の王』

上橋菜穂子『鹿の王 上 生き残った者』(KADOKAWA 2014)
上橋菜穂子『鹿の王 下 還って行く者』(KADOKAWA 2014)
読了(7/20)。
ファンタジーの要素は薄いが、これも東洋風な「異世界」を舞台とした物語。

文化人類学者でもあるこの作者ならではだろうが、食べ物や生活の描写が緻密で背景がしっかりある感じ。
「医学」の面ではいろいろ助言をもらったとのことだが、不自然な感じはしない。
「飛鹿(ピュイカ)」は魅力的。
変わらず読みごたえがある。

「獣の奏者」と同じくこの作品も「児童文学」ではないんだろうな…主人公は40代のおじさんだし。
相変わらず図書館では児童書の棚にあるが。いずれサイトの方にもアップ予定。

以下、結末を含め内容にふれるので畳む。
 

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2018-03-25

上橋菜穂子「獣の奏者」

<獣の奏者>シリーズ
上橋菜穂子『獣の奏者 I 闘蛇編』(講談社 2006)
上橋菜穂子『獣の奏者 II 王獣編』(講談社 2006)
上橋菜穂子『獣の奏者 III探求編』(講談社 2009)
上橋菜穂子『獣の奏者 IV 完結編』(講談社 2009)
上橋菜穂子『獣の奏者 外伝 刹那』(講談社 2010)
以上、読了。
戦いに「獣」を使う人々の世界を描くファンタジー。

全部読み終わってから感想書こうと思っていたら、取り紛れて感想書くの忘れていた…。
昨年のうちには読み終わっていたのに。
だいぶ記憶が不確かになってしまったが、何とか。

当初は2巻目の「王獣編」で終わっていたらしいが、のち続編ができた。
続編が読めたのは嬉しいが…。
「外伝までひとまとめの話」と聞いたような気がするので一気に読んだ。

おもしろいけれど、シビアでハードな物語。

アニメにもなっているが、未読だったので観ていない。
本には表紙に影が見えるくらいなので闘蛇や王獣がどんな姿をしているのか私の想像力ではよくわからないのだが、固定イメージつけたくなかったし。

以下、結末を含め内容にふれるので畳む。
 

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2018-03-17

『ちいさいおうち』の各版の違いについて

児童書専門店「教文館ナルニア国」で今日から「ばーとん展」やってるというので、昔書いた文章を引っ張り出してきて加筆訂正。
元執筆は1998.5.1付「ぱろっと」(内輪のコピー誌)。
なお、内容はすべて個人の感想、類推です。

「岩波の子どもの本」の『ちいさいおうち』(バージニア・リー・バートン文・絵、石井桃子訳、岩波書店)が右開きから左開きになったこと、別に大型版が出ていることは知っていた。しかし先日、表紙が違うこと、中の文章も結構変わっているらしいことに気づき、ここはひとつ各版の比較をしてみようと思い立った。それぞれの版だけを見ていると気がつかないことも多く、なかなか興味深かった。比較に用いた版は以下の通り。日本での出版の順序は、旧版→大型版→新版。
旧版:1954年4月15日第1刷(1968年4月10日第13刷)/20.7×16.4cm
大型版:1965年12月10日第1刷(1996年4月5日第40刷)/23.7×25.3cm
新版:1981年3月17日第25刷改版(1994年5月10日第43刷)/20.7×16.4cm
英語版:1942年(1969年renewed)/23.7×25.3cm

まず全体として。版・刷の記述から類推すると、「岩波の子どもの本」として出た最初の旧版から、1965年に本の開き・訳文の変更などの大改訂をして大型版が作られたものと思われる。この大型版は、原書の英語版と同じ大きさであるだけでなく、タイトルの飾り文字・文章のレイアウト・ページ数の字体までなるべく原書と同じようにしており、形としては最もよくできている。大型版は以後そのままの形で刷を重ねている。「岩波の子どもの本」としてはしばらく旧版のまま出続け、1981年になってようやく大型版で行われた改訂が反映された新版ができたらしい。ただし大型版と新版もまったく同じではなく、訳文はさらに見直されたようである。「改版」となっているとき以外でも細かい修正がされているかもしれないが、さすがにそこまでは調べきれなかった。

版型について。大型版は原書の英語版と同じ大きさだが、旧版と新版は「岩波の子どもの本」のシリーズのため版型が統一されており、絵全体が小さくなっているほか、横長のものを縦長にしたので上下に原書にはない余白がかなり入ってしまっている。高いビルができたシーンなど、ページの上ぎりぎりまで絵があって圧倒する感じになっているのが、余白が入ってしまって少々迫力が削がれてしまっている。旧版と新版でも、新版の方が上下の余白を均等に近くとっており(旧版は下につめている)、かえって周り全体がスカスカした感じになってしまっている。見返しにある風景の変遷の絵も、旧版と新版は縦長にしたため、空の部分が広くなっていて微妙に感じが変わっている。「岩波の子どもの本」の統一形式が、絵の雰囲気をやや損なっているところがあると言える。

表紙について。「岩波の子どもの本」の旧版と新版の表紙の絵は、何と別に描き直したもののようである。飛んでいる鳥や煙突から出ている煙も大型版・英語版のものと違うし、壁の色もベタッと一様だし、何よりも家そのものが横幅が狭くなっていて明らかに違っている。バートンの絵ではないのだろうか。裏表紙の太陽ひなぎく(?)の絵も大型版・英語版では版面いっぱいに描かれているが、旧版・新版では本全体が小型であるうえ中央に小さめに印刷されているので、ずいぶん印象が違う。ちなみに表紙の地の色は他が全て水色なのに対し、旧版のみ薄緑が使われている。

構成について。旧版のみ右開きで文は縦書き、そのため中の絵が裏焼きになっている。バートンの絵はちゃんと描けているので裏焼きになっても左右のバランスが悪くなったりしてはいないが、物語の流れを考えての処置だろうが、絵の印象は微妙に変わってしまう。これはちょっと微妙か。そして、旧版には原書の英語版にはない、ほとんど文章のみの見開きが二回出て来る(カットとして別のページの絵を一部使用している)。これは前後の絵についている文章が長くて入りにくかったためだろうが、文の内容が絵に対応しているので、やはり原書の通り同じページに納めるべきだったと思う。大型版・新版ではこの文のみの見開きは両方ともなくなっている。文章のレイアウトや文の絵に対する配置などは大型版はほぼ原書と同じようにしており、新版もなるべく合わせようとされているが、版型の違い、字体の違い(しかも大きい)などで少し違うところもあり残念である。旧版は縦書きのうえ文章のレイアウトも画一的で原書の工夫が活かされていない。なお「岩波の子どもの本」である旧版と新版には漢字にふりがながあるが、大型版にはない。

文章について。旧版→大型版のときに訳文に大幅に手を入れた模様。旧版はかなり文章を省略したところがあったが、大型版・新版では完訳に近い。前からあった文章も全面的に見直し、言葉はかなり変わっている。大型版と新版は大体は同じだが、漢数字をアラビア数字にしたところや細かい言葉づかいで少し変わっているところがある。また、新版は版型の小ささのため入りきらなかったらしく、やむなくカットしたと覚しき部分もある(新しい場所を見つけたときのセリフなど)。原文を読んでみると、訳文では言葉を補っていたり直訳ではないところもあって、ニュアンスが微妙に異なっていておもしろい。また、同じフレーズの繰り返しが出て来るところがあるのだが、昔話のようにその部分はなるべく同じ表現で繰り返した訳文にすべきではないかと思う。違う表現になっていたり(“she watch-ed the children …ing ~"のところなど)、旧版では繰り返しが省略されていたり(最終ページの“Never again …, Never again…"のところなど)していて、言葉のリズムの問題なので、できれば同じように翻訳しておいて欲しかった。

その他。月の満ち欠けの表の絵が、旧版では三日月が半月にならずにだんだん太くなって満月になっているというありがちな形状だったのが、他の版では直っている。しかし大型版・新版のと英語版のは月の向きを含めて絵が違う。日本のは日本で独自に直したのだろうか。

文章の最終的な吟味した形は新版なのだろうが、全体としては大型版が最もよく原書の形を伝えていて好ましいと思う。バートンは文字も含めた見開きページ全体のレイアウトをよく考えて絵本を作っているようなので、「岩波の子どもの本」の形は少々無理があったと言わざるを得ない。日本の絵本界において、素晴らしい絵本を次々に出した「岩波の子どもの本」の功績はもちろん言うまでもないが、個々の作品(特に翻訳もの)については版型の統一と小ささが、絵の変更(裏焼きなど)・文章量の限定などのマイナス面を含む場合があり、絵本出版の難しさを表している。

以上、「岩波の子どもの本」の悪口をさんざん言っているようだが決してそういうわけではなく、客観的に気づいたことをまとめてみたものである。
そして、「私の『ちいさいおうち』」は、やっぱり子どもの頃から慣れ親しんだ旧版で、私は今でもこの本がとても好きである(いやーでも昔からこの結末では根本的解決になっていないのでは…と思ってはいる)。
 

2017-10-15

上橋菜穂子『炎路を行く者』

上橋菜穂子『炎路を行く者―守り人作品集』(偕成社 2012)読了。
<守り人>シリーズ番外編。『蒼路の旅人』の重要人物ヒュウゴの少年時代を描いた中編「炎路の旅人」と、バルサの少女時代の一コマを描いた短編「十五の我には」の2編を収録。

2冊目の番外編が読めて嬉しい。もっとあってもいいけど、もうないかなー。

以下、内容にふれるので畳む。
 

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2016-01-17

「CREA」少年少女文学特集

文藝春秋の女性誌「CREA」の1/7発売の2月号、「大人の少年少女文学」特集です。
アンケートによるランキングや作中の食べ物や人物や縁の場所についての記事、思い入れのある作品についての各界の人へのインタビューやコメントなど、カラーの写真やイラスト満載で充実の内容。

実は本家のホームページを見て声をかけてもらって、少しお手伝いしました。
昨年末にいろいろ読んでいたのはこの関係で。

主に「大人になっても読みたい少年少女文学」リストの解説文書きを担当。半分は書いたよ! あと半分はほとんど友人知人に書いてもらいました。皆様、その説はありがとうございました。リライト入ってるからそのままじゃないですが、大変だったけど楽しかった! できればもう少し時間が欲しかったけど、雑誌作成の編集進行スケジュールを思うと、あんなものなのだろうな。
そしてもっといろいろ入れたいものがあったけど、これもきりがないので仕方ない…。でも<ヒルクレスト>や<フランバーズ>、サトクリフやダイアナ・ウィン・ジョーンズ、『たのしい川べ』や『リンバロストの乙女』などは入れたかったな…。

子どもには印象の強い各種の食べ物関連の記事が案の定がいろいろあって、写真やレシピつきだったりして素敵。
「ヘンな食べ物図鑑」もおかしい。ペミカンやレンバス、「プリン」も出てくるよ。

「いじわるおばさん図鑑」なんてのもありましたが、それと知ってたら、是非ランサムの作品に出てくる大おばさんを推薦したんだけどな~ 2巻と11巻に出てきて特に11巻『スカラブ号の夏休み』ではいい味出してるんで残念!

盛りだくさんで、ぱらぱら見るだけでもじっくり読んでも楽しい特集。
興味がある人はまだ買えると思うので是非。
 

2015-12-17

石井桃子『べんけいとおとみさん』

石井桃子『べんけいとおとみさん』(福音館書店 1985)読了(12/14)。
一昔前の、それほど田舎ではないがそれほど都会でもない郊外の、ねこのとみ子(おとみさん)と犬のべんけいと子ども二人の家族のほのぼのとした生活。
山脇百合子の挿絵も良い。

1985年出版の本だが、さらにその20年以上前に書いていたものをまとめたものなので、1960年代くらいの話かな。現在はもちろん、出版当時でももうかなり前のことになっていたと思うが、それでも『やまのこどもたち』などの山村の生活よりはなじみやすかった。自分がそのころの子どもだったからかな。

犬やねこと人間が普通にしゃべっていたりするが、味わいとしてはファンタジーではないと思う。
石井桃子さんは作家としてはこういうほのぼのとした作品が味わい深い。
 


2015-12-17

ロアルド・ダール『おばけ桃の冒険』

ロアルド・ダール『おばけ桃の冒険』(評論社 1972)読了(12/9)。
少年が巨大化した桃に入り込んで虫たちと旅をするという奇想天外な物語。

ダール特有のほら話!
虫やナンセンス・ファンタジーが嫌いでなければ楽しめる。

最近の<ロアルド・ダール コレクション>版では結構訳も違うんだろうな。

以下、内容にふれるので畳む。
 

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