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『ラーマーヤナ』 

河田清史『ラーマーヤナ―インド古典物語』上・下(レグルス文庫、1971)を読了(7/30)。
第三文明社刊。上巻1993年13刷、下巻1994年12刷。駒井哲郎挿絵。
3世紀ごろの詩人ヴァールミキがまとめた古代インドの伝説の英雄ラーマの歌物語の日本語再話版。
悪魔の王にさらわれた妻シータを奪還しに行くのが物語のメイン。

もうすぐ日印合作のアニメ映画が再上映されるというので、予習として読んでみた。
本当は東洋文庫とかの原典の翻訳を読むべきなんだろうけど、ちょっと長そうなので、この「少年少女にしたしみやすく読みやすいように」再話されたものを。この版もそれなりに評価されているようで、三度目の刊行なのだそうだ。味のある木版画の挿絵もずっと使われているとか。アマゾンでも最近kindle版が出て「ベストセラー」となっていた。

ともあれ、こういう神話・伝説的な物語は一通りは押さえておきたいよね。
インド神話全般もおさらいしとこうかなあ。

今更ネタバレでもないが、内容の細かいところにふれるので畳んでおく。
(2018.9.2追記あり)

 
 
 
ときどき、ストーリーの流れとは関係なく、今もインドで行われているらしい明け方に笛を鳴らす描写に続けて「がさがさした物音で目がさめたりしたら…精神は狂ってしまいます」といった教訓?教養?めいた文章があったりする。原典にはきっともっとあるんだろうな。

ラーマの結婚の際、父ダサラタ王の王女の婿(つまりラーマとは義理の兄弟?)である「エジプトのアクナトン王」から祝いが届くのだが、宗教改革やアマルナ美術で有名なアクナトン王と同一人物なのかな? 同時代と設定されているのか、それともこの物語ができたころの有名人の名前を使ったのか。歴史上のアクナトン王は紀元前14世紀頃の人なのだが、妃にはインドの人はいなかったようだが。
また、アクナトンの祝いの品には宝石のほか「人生と夢の秘密のことを書いたうつくしい本」というものがあるのもおもしろい。

この本ではいろいろとはしょられているせいなのかもしれないし、神話・伝説にありがちな矛盾?なのかもしれないけれど、多少気になることも。

最初に出てくる悪魔の息子の名前がマーリーチャで、シータをだます金色の鹿に化ける悪魔の名前もマーリーチャ。wikiの記述だと同一人物みたいだが、この本だと最初のマーリーチャはそのとき倒されている。「悪魔」的なものを表す言葉なのかな。

それと初めにインドラの生まれかわりとされていたバーリが身内の争いの中で倒されてしまうのだけど、それで良かったのか?
と思ってやはりwikiを見ると、猿族の者たちは神々そのものの生まれかわりじゃなくて「神々の子」となってるらしい。

バーリの妻の呪いはどうなったのかも気になったが、原典では呪いが利いているのか、シータのことが少し違うようだ。
この本では「少年少女にしたしみやすく」するためにハッピーエンド風にしたのかな。
(2018.9.2追記)
シータの「身の潔白の証明」は原典にも2回あるらしいが、後の方の部分を入れるとあまり楽しい感じに終わらないのでカットされたのだろう(後の方の部分はものの本によると後世の追加かもという記述もあり)。

バーラタ王子の母のカイケイー妃はおとがめなしなのか?
こういう人にはよく「哀れな末路」のエピソードがついていたりするのだが。

ラーマの弟ラクシマナの妃のウルミーラはラーマの追放に同行しなかったようだけど、14年間どうしていたのか、というか元の鞘に戻ったのだろうか。
そういえばラーマの追放の14年は、シータがさらわれて奪還したところで過ぎていたんだね。

敵の王ラーバナの弟の一人がいい人だったり、戦死した別の弟の葬儀のため双方が停戦したり、敵将のインドラジットが強くて格好良さそうだったり、敵が一方的に悪い奴という描写でないのもおもしろい。

やっぱり原典を読んでみるべきなのかな^^;
 
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テーマ: 読書メモ

ジャンル: 本・雑誌

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