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2018-11-24

ベレアーズ『壁のなかの時計』

ジョン・ベレアーズ『壁のなかの時計』(アーティスト・ハウス 2001)読了。
<ルイスと魔法使い協会>シリーズの第1作。

2018年に映画化された。映画鑑賞のお誘いをいただいたのだが日程が合わず、なら原作だけでも読んでみようかなあと思ったもの。

訳されたのはハリポタブームの中だが、原作が書かれたのは1973年。さらに作品の中の年代は第二次大戦終了からほどない1948年のアメリカだが、とりたてて古さは感じなかった。イギリスの一昔前のファンタジーと思いきや、野球が出てくるのでああアメリカの話なんだなあとは思ったが。

シリーズ化され3作目まではベレアーズ本人が、ベレアーズの死後ブラッド・ストリックランドという人が書き継いで2008年の第12作で完結した。日本では第8作まで訳されているが、すべてベレアーズの名義になっているようだ。最後まで訳されなかったのは日本ではあまり人気がなかったのかな?
映画化を機に別の出版社から文庫版が出ているようなので、うまくすればシリーズ最後まで翻訳されるかも。

大事になりそうになりながら、日常的な感じの漂う親しみやすいファンタジーというところか。

以下、内容にふれるので畳む。
なお私はこの作品が「駄目」だったので、好きな方やこれから読む・観るつもりな方には以下を読むことは避けていただいた方が良いかも。
 

 
 
この物語が私にとって「駄目」なのは、話が論理的に進まないためではないかと思う。
両親を亡くした主人公の少年が叔父さんに引き取られるのだが、叔父さんやその家には何やら不思議なことがある…それを主人公は大して疑問に思うこともなく何となく受け入れてしまう。普通もうちょっと何とかしないか?
そして仲良くなった友達を感心させるために、ちょっと考えるだけでもやったらまずそうな死人を蘇らせる呪文なんてものを使ってしまう。子どもってそんなものか?
自分の不始末を自分で何とかしようとする心意気は買うが、魔法の知識もなく闇雲に突っ込むなんて行き当たりばったりみたいだし、最後の解決方法もたまたまうまくいったような感じがしてしまうのだが…。

主人公が好きになれないタイプなのも痛いかも。
(執筆年代から見れば)のちの『はてしない物語』の主人公バスチアンを思わせる、スポーツが苦手ないじめられっ子の小太りの少年というのはどこにでもいそうで共感を持ちやすい子ども像なんだろうけど、友達を失いたくないばっかりにやばいことに手を出してしまうとは…あまりにお粗末では。私がもう子どもではないせいで共感が持ちにくい?
別に美少年だったりすごく頭が良かったり実は隠れた力を持った選ばれし子、とかいうものである必要はないけど、もうちょっと考えて行動して欲しいなあ。こういうのは(執筆年代から見れば)のちの「ゲド戦記」にもあるような、ある意味典型的なパターンかもしれないけど。

主人公はやってしまった不始末をなかなか叔父さんに告白できないのだが、叔父さんはそのことを察していたので、特に問題もなく終わり、ちょっと主人公にとって都合良く行きすぎないか?
失ってしまった友人のかわり別の子と仲良くなったようだが、その経緯が書かれていなくて唐突だし(私が読み飛ばしたか?)。

世界の存亡にかかわるようなことと言われながら、割とゆるーい方法で解決してしまう意外性がおもしろいとも言えるのだが、こういうふわっとした話より、私はもう少し筋道がはっきりしている方が好きだなあ。
続編がいくつかあって、読んでみるとまた違った感想になるかもしれないが、今はちょっと読む気になれない。
 
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