FC2ブログ
2019-09-08

映画「トールキン 旅のはじまり」

映画「トールキン 旅のはじまり」を観に行った。
東京・日比谷の「TOHOシネマズ日比谷」にて。
『指輪物語』『ホビットの冒険』の原作者トールキンの前半生の伝記映画。

『指輪物語』等を知らなくても、貧しさや戦争に翻弄される学生時代の友情や恋を描いた、普通の青春ものとして観られるかも。

以下、内容に触れるので畳む。
(10/4追記)
 

 
 
トールキンが従軍し、親友四人のうち二人を失うことになる第一次世界大戦のシーンと、少年時代から青年時代が交互に映し出される、という構成。

パンフレット等は買わなかったので、帰宅してから『J.R.R.トールキン 或る伝記』(ハンフリー・カーペンター著、評論社)をぱらぱら見たりしながら復習。
時系列や実際にあったことは入れ替えたり改変したりもしているようだけど、高校時代、キング・エドワード校時代のグループ「T.C.B.S.」の友情に力点が置かれている。

物語を実際に執筆している時代はほとんど出てこないけれど、現実と物語世界が重ね合わされるように描かれている。
少年時代を過ごした田園風景が本来のホビット庄に、移り住んだバーミンガムの工場都市風景が「シャーキー」に損なわれたホビット庄に、戦場の光景がモルドールでの状景に。特に戦場では「黒の乗り手」やサウロンの幻影がしばしば出てくるし、従卒の名前が「サム」となっているのも。
ラストシーンほかの「T.C.B.S.」の4人が歩いているシーンなども、「4人のホビット」になぞらえているんじゃないかな。

(追記)
大学在学中、偏屈そうなゴート語の教授が出てくるのだが、確か読み書きのできない労働者階級からたたきあげた名物教授として伝記にも出てきていたな。その人の人となりは映画では触れられてなかったけど、トールキンが成績が十分でないため奨学金を打ち切られそうになって退学の危機になるところに出てきた。伝記にそんなことがあったと書いてあったか覚えていないが、まあトールキンなら興味のない科目には不熱心になりそうなので確かにありそう。

出てくる家の壁紙にウィリアム・モリスのデザインみたいなのがあったり、エディスがラファエル前派の画家ロセッティの絵に描かれた女性みたいだったり(トールキンはラファエル前派の絵画を好んでいたらしい)、殺伐とした塹壕の中のシーンと対比的に、美術的には結構凝っているようで美しい。

戦後の、詩や音楽といった文学・芸術に打ち込むことを好ましく思っていなかった友人の家族との和解が、失われたものへのささやかな救いとなる。

観ているうちに、多分ここで終わるだろうなと思ったところでやはり終わった。
「地面の穴のなかに、ひとりのホビットが住んでいました。」
 
スポンサーサイト



コメント

同感ですが、
トールキンの描いた「絵」「スケッチ」が、きれい過ぎました。
われらが教授は、

「味のある絵は描く」

けれど、

「決して、絵を描くのがうまくなかった。」

と、思います。


コメントありがとうございます。
気づくのが遅くなってすみません。

そうでした、映画の中ではトールキンが物語のイメージ画をいっぱい描いて壁に貼ったりしていましたね。
確かに少々上手すぎたかも。

「T.C.B.S.」は詩や音楽などの芸術家志望の若者、という位置づけでしたが、画家志望の人はいましたっけ。トールキンも別に画家志望というわけではなかったとは思いますし、あんなにいっぱい描いていたという記述は伝記にありましたっけ。
まあのちの物語のイメージをわかりやすく出す演出なのでしょうね。

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://starglassbottle.blog27.fc2.com/tb.php/634-3a157a47
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

Copyright (C) 星のガラス瓶. All rights reserved. Template by Underground